この記事を読むまで、自立は、依存先を減らすこと、一人で出来るようになること、と思っていました。
『自立は、依存先を増やすこと 希望は、絶望を分かち合うこと』 脳性まひの障害を持つ熊谷晋一郎(くまがやしんいちろう)さん(小児科医/東京大学先端科学技術研究センター・特任講師)インタビュー(TOKYO人権 第56号(平成24年11月27日発行))
以下 記事の抜粋です。
東日本大震災のとき、私は職場である5階の研究室から逃げ遅れてしまいました。なぜかというと簡単で、エレベーターが止まってしまったからです。そのとき、逃げるということを可能にする“依存先”が、自分には少なかったことを知りました。エレベーターが止まっても、他の人は階段やはしごで逃げられます。5階から逃げるという行為に対して三つも依存先があります。ところが私にはエレベーターしかなかった。
途中略
依存先を増やして、一つひとつへの依存度を浅くすると、何にも依存してないかのように錯覚できます。“健常者である”というのはまさにそういうことなのです。世の中のほとんどのものが健常者向けにデザインされていて、その便利さに依存していることを忘れているわけです。
実は膨大なものに依存しているのに、「私は何にも依存していない」と感じられる状態こそが、“自立”といわれる状態なのだろうと思います。だから、自立を目指すなら、むしろ依存先を増やさないといけない。
自立を目指すなら、依存先を増やすこと。一人で行くのではなく、一緒に行ける人になることです。