今までのお話
わたしが呼吸リハビリテーションを仕事にした訳 1、2
その日から、何をしているのよく知らないまま、新米の理学療法士さんと一緒に、指導を受けました。
まだ呼吸リハビリテーションという考えが巷(ちまた)に広がっていない頃の話です。
Aさんへの理学療法を通して、呼吸理学療法を教わっていくのです。
この2人の理学療法士さんの手をかりて、人工呼吸器をできれば外したい、そんな思いでいっぱいでした。
一度、胸のレントゲン写真を撮りましょう。息を吸ったとき、吐いたとき、で撮りましょう、とのこと。
何のために?
レントゲン写真では、空気が入ってふくらんでいる肺は、レントゲン線が通り抜けるのに妨げが少ないので、黒くうつります。
胸のレントゲン写真でみると、空気が入っている肺の底のラインが横隔膜の位置なのです。
息を吸ったとき、吐いたとき、で撮ることで、横隔膜が動いているかどうかが確認できるのです。
本来ならこのように動いているはずです。
しかしながら、横隔膜は全く動いていませんでした。
当たり前です。横隔神経を切ったのですもの。と、Aさんはいうのです。
癌をとる説明を受けたときに、このようにきいています。
癌が横隔神経を巻き込んでいるので、癌をとるときに横隔神経を切ることになります。
だから横隔膜が動かなくなります。
自分では呼吸ができなくなるので、人工呼吸器が一生ついたままになります。
だ、
だから。
だからって、
どうして、人工呼吸器が外れないって、平然としていられるのだろう。
どうして、人工呼吸器が外れないなんておかしい。人工呼吸器は外すためにあるものだ。
知らないとは、こわいもの知らずでもあります。
いちいち知らないことでした。
沢山のことを教わりました。