今までのお話
わたしが呼吸リハビリテーションを仕事にした訳 1、2、3
人工呼吸器が一生ついているのは当たり前です。横隔神経を切ったのですもの。
と、Aさんは紙に書いてくれました。
そうなんです。
人工呼吸器がついていると、声を出してお話ができないのです。
肺から吐いた息が、声帯を通るとき、声が出ます。
声帯は、ハサミの歯のように、開いたり、閉じたり、動きます。
喉から内視鏡で声帯をのぞいたところを描いてみました。
声を出すときには、左右の声帯の間を空気が通って、声帯を振動させて、声が出ます。
人工呼吸器をつけるとき、しっかり肺の換気をするために、気管に穴をあけて、空気のもれがないようにカフ(気管とチューブのすき間をうめるための風船)を取り付けます。
その気管の穴に人工呼吸器がついていると、しっかり換気はできるのですが、穴をあける場所が声帯と肺の間になるので、声帯を空気が通らないので、声が出せなくなります。
Aさんとお話するときは、Aさんは筆談でした。
わたしはAさんの声をきいたことがありませんでした。