『あん』の著者、ドリアン助川さんのお話。「生きる意味」とは「積極的感受」。心が震える講演会でした。

WASEDA NEO 第19回 パイオニアセミナー
国境を越えた「積極的感受」について
小説『あん』が世界で読まれる理由

ドリアン助川さんの講演会に参加しました。

ドリアン助川さんが WASEDA NEO からもらったお題は、「失敗と成功」。

以下、ドリアン助川さんのお話からです。

「生きる意味」とは「積極的感受」

ドリアン助川さんの「失敗と成功」を通して、「何かで突出した存在にならねばならない。」(突出とは、他者からみて能動的)という方向から、どんな過程をへて、「積極的感受」という方向に向いたか、語って下さいました。

それは、「私達の生きている意味は何だろう。」という問いへの探求のお話でした。

「社会の役に立たないと生きている意味がない。」と、深夜放送のリスナーの若者は、口々に言うけれど。

それをきいた時、違和感を感じた。

でもその時は、「何かで突出した存在にならねばならない。」という方向に向いていたので、違和感の正体は分からなかった。

極限まで追いつめられた時に、考え方が変わった。

所有をあきらめた時、どんな人間にも世界がひらいていた。

哲学では、「存在」は肉体と思いがちだけれども、肉体は一番最初に出会う他人。
「存在」とは内面。
意識が主体。

私達は、肉体という存在を超えて、意識こそ存在だ。

「我思うゆえに、我あり。」

また、単独で存在し得るものはない。
全ては関係性の中にある。
そのことによって皆が存在している。
自分だけをみると、「分断と虚無」。

そして感受、それも「積極的感受」。
感受とは、寄り添うという考え。

「積極的感受」という方向に変わって、アンテナとして自分を鍛え、徹底的に共感へ。

ドリアン助川さんのおっしゃる「積極的感受」について、こちらのプログにとてもわかりやすく書いてあります。

考えた末にたどり着いたことは。

自分に出来ることは、物語を書くこと、歌を歌うこと。

そこから、小説『あん』が生まれた。

映画『あん』が生まれた。

「私達は感受するために生まれてきた。」

その子が生まれたということは、その子が感受することが生まれたということ。

つながりが生まれたということ。

そうして世界にこの物語が広まっていった。

つながりから広まる

ちょうど講演会の前日、ドリアン助川さんのエッセイ『線量計と奥の細道』が、第67回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞されたところでした。

松尾芭蕉の『奥の細道』は、初めは2部のみ。ずっと仕送りをしてくれていた兄へあてられたもの、神社に奉納されたもの、の2部だったそうです。

もう1人、アメリカの三大詩人の1人、エミリー・ディキンソンの詩は、死後に妹が出版社に持ち込んだから世に広がったとのこと。

つながりから、この世の中に広まっていった。

つながりから、三宅サンマルツァーノ誕生

ニューヨークで生活していた時に食べた、火の通ったトマトがとっても美味しかったんだそうです。

それは、火山灰を好むイタリアのクッキングトマト「サンマルツァーノ」。

そこから、ずっとクッキングトマトの研究をしていたそうです。

そして、2000年の三宅島大噴火。

樹木希林さんと 映画『あん』の上映会で八丈島に行くことになって、そのトマトの話が出て。

そして、2016年から三宅島に居を構え。

農園や農業試験場のみなさんと実地で取り組み。

三宅サンマルツァーノの誕生です。

そして出荷。

お話に出てきたトマトの話は、こちらからも読むことができました。

このトマトを食べてみたくて、予約注文しました。

八丈島の明日葉

お話の中で私が目を奪われたのは、八丈島の、木の陰一面に明日葉が写っているスライド。

明日葉は日陰を好むため、大きな木を植えて、その根元に植えるんだそうです。

そんなことも知らないで、明日葉を食べていました。

これは、八丈島が呼んでいるということですか。

一度八丈島に行ってみたいものです。

「積極的感受」をきたえるために、日記をつけること

何か自分ならではの仕事をやりたいと思った時、日記をつけることを勧められていました。

何を感じたか、言葉がひらめいたか。

その日 感じたことを書いていくそうです。

自分の心の中に起きたことを、英語と日本語で書く。

参加者各々に、言葉のプレゼントを頂きました。

私の頂いた言葉はこちらです。

みた時 思わず涙が出てきました。
鼻をすすっておりましたら、ドリアン助川さんと目が合ったのですが、優しい目でした。

またワークとして、言葉を書いて、それは参加者同士へのプレゼントとなりました。

最後に

ドリアン助川さんの講演会は、心が震える講演会でした。
講演会は、こうありたいものです。
目指す目標とさせて頂きます。

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【息切れ生活から脱出するために知っておくべきこと】
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・息切れがある時は、安静にするのではなく、動く。
・息は吐いてから吸う。
・食事と運動が呼吸リハビリの両輪。

この記事を書いた人

中田潤子

中田潤子

呼吸器内科医。
Change your breath, change your life.  
呼吸が変わると人生が変わる との考えで活動中。

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